夏の楽しいアウトドア、キャンプやハイキング、
公園でのピクニックは最高ですよね。
でも、そんな楽しい時間の中に、
ちょっと厄介な存在が潜んでいることをご存知ですか?
それが「マダニ」です。
「ただのダニでしょ?」と侮ってはいけません。
家の中にいる小さなダニとは全くの別物です。
夏のアウトドアを安全に楽しむために知っておきたい、
マダニの基本と対策について分かりやすくお伝えします。
なぜ夏にマダニが増える?
夏になるとマダニの活動が一気に活発になります。
特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては、
マダニに刺される危険性が高まります。
気温が20~30度で湿度が高い
梅雨明けから9月頃までが最も危険な時期です。
この時期は家族でキャンプに行ったり、ハイキングを楽しんだり
外出機会が増えますが、実はマダニと遭遇する
リスクが高まっているんです。
マダニって普通のダニと何が違うの?
マダニは、食品等に発生するコナダニや
衣類や寝具に発生するヒョウヒダニなど、
家庭内に生息するダニとは全く種類が異なります。
マダニは屋外に住み、家の中にいるダニより大きく、
しっかりとした外皮を持っています。
どんな場所で出会いやすい?
マダニは身近な場所にいます。
●アウトドアスポット
- 山林ハイキングコース
- キャンプ場の草むら
- 河川敷・土手
- 公園の芝生エリア
●日常生活で遭遇しやすい場面
- 庭の草むしり
- ペットの散歩
- 畑仕事や農作業
- お墓参り
マダニは草の先端、葉っぱの裏で待機していて、
人や動物が通りかかると素早く飛び移ります。
体温や二酸化炭素、振動を感じ取って近づいてくるので、
じっとしているよりも歩いている時の方が危険です。
怖い感染症のリスクを知っておこう
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
最も注意が必要な感染症です。
マダニに咬まれてから、6日~2週間程度の潜伏期間の後
38度以上の発熱、消化器症状(食欲低下,嘔気,嘔吐,下痢,腹痛)
などの症状がでます。
重症化し死亡することもあります。
国内では、令和6年6月に抗ウイルス薬(ファビピラビル製剤)
が承認されていますが、予防が何より大切です。
日本紅斑熱
2~8日の潜伏期間の後、高熱と全身に赤い発疹が現れます。
適切な治療を受ければ回復しますが、放置すると危険です。
ライム病
日本ではシュルツェマダニだけが、このボレリアを保有しており、
おもに北海道や本州中部山岳部でのシュルツェマダニ刺症によって、
ライム病を発症することが知られています。
感染初期には、多くの場合、遊走性紅斑と呼ばれる
特徴的な症状がでます。
マダニに咬まれた部位に赤色の丘疹が生じ
環状に紅斑が広がっていくというものです。
つつが虫病
山裾や田畑、河川敷などに生息するツツガムシ。
ダニ類の幼虫の体内にオリエンチア・ツツガムシという
リケッチアを保有している場合に、それに吸着されることで感染する
リケッチア感染症です。
簡単にできる予防対策
服装で身を守る
草むらなど、マダニが多く生息する場所に入る場合には、
長袖、長ズボンを着用し、
サンダルのような肌を露出するようなものは履かないことなど
マダニに刺されない、予防措置を講じることが基本です。
●おすすめの服装
- 長袖・長ズボン(薄手だと貫通する可能性があるので注意)
- 白や薄い色の服(マダニが見つけやすい)
- 靴下を長ズボンのすそに入れる
- 帽子やタオルで首回りを保護
- 革の手袋があると良い
虫よけスプレーを活用
DEET(ディート)やイカリジンという成分を含む
虫よけ剤の中には、
服の上から用いるタイプがあり、
補助的な効果があると言われています。
効果的な使い方
- ディート系
濃度10~30%のものを2~4時間おきに塗り直し - イカリジン系
効果が長持ちで肌に優しい - 天然系(ハッカ油など)
効果は短いが安心
帰宅後の全身チェック
屋外活動後は入浴し、マダニに刺されていないか確認して下さい。
特に首、耳、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏などがポイントです。
家族でお互いにチェックし合うのも効果的です。
子供は特に入念に確認してあげてください。
※次に実際のマダニの写真をお見せします。
マダニを見つけた時の対処法

絶対にやってはいけないこと
マダニに咬まれた場合、吸血中のマダニに気が付いた際、
無理に引き抜こうとすると、マダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、
マダニの体液を逆流させ、病原体が体内に入りやすくしてしまう恐れがあります。
医療機関(皮膚科など)で処置(マダニの除去、洗浄など)を
してもらってください。
正しい対処法
- 慌てずに医療機関を受診
- 自分で除去する場合は
ピンセットで頭部をつかんで垂直に引き抜く - 除去後は消毒を行う
- 数週間は体調変化に注意
こんな症状が出たら要注意
マダニに刺された後、以下の症状が現れたら
迷わず医療機関を受診してください。
- 38度以上の発熱
- 刺された部位の赤い発疹
- 頭痛や筋肉痛
- 吐き気や下痢
- 全身のだるさ
早期発見・早期治療が重要です。
「マダニに刺されたかも」ということを必ず医師に伝えましょう。
身近な環境整備も大切
自宅でできる対策
- 定期的な草刈り
- 落ち葉の掃除
- 湿気がたまりやすい場所の換気
- ペットの定期的なダニ駆除
キャンプや登山での注意点
- テント設営前に地面をチェック
- 荷物を直接、地面に置かない
- 食事エリアを清潔に保つ
- 就寝前の寝具確認
まとめ
夏のアウトドア活動は楽しいものですが、
マダニ対策を忘れずに行うことが大切です。
適切な服装と虫よけスプレー、帰宅後の全身チェックを習慣にし、
安全に夏を楽しみましょう。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、インフルエンザなどのように
容易に人から人へ感染して広がるものではないとされますが、
個人の予防対策は必須です。
何か異常を感じたら、迷わず医療機関を受診することが
命を守る最も確実な方法です。
楽しい夏の思い出を安全に作るために、マダニ対策を行いましょう。


コメント