日本の年末、12月といえば、
文化・クラシック音楽に関心が高い人々が
楽しみにしているイベントに「第九のコンサート」があります。
ベートーヴェンの通称「第九」は壮大なオーケストラと
感動的な合唱が、人々の心を打ちます。
日本での「第九」の歴史や魅力、
2024年年末の主なコンサートについて紹介します。
第九の歴史と日本
第九の正式名称は「交響曲第九番 二短調 作品125(合唱付き)」で
1824年に、オーストリアのウィーンで初演されました。
晩年のベートーヴェンも立ち会いましたが、作曲中から耳は聞こえず
演奏された時も、曲が終わったことに気づかず、
拍手する観客だけを目にしたという逸話です。
日本での始まりはというと、
年末ではなく、第一次世界大戦中の1918年6月1日に
徳島県鳴門市にあった「坂東俘虜収容所」で、
捕虜のドイツ人たちによって、演奏されたのが最初とされます。
この収容所は、
所長の方針で異例の手厚い待遇が用意され、
「奇跡の収容所」とされ映画などの題材になりました。
(「バルトの楽園(2006)」など)
足りない楽器や編成を置き換え、
初めて全曲が日本の地に響いた日であり、
戦争の悲しみの中で、
祖国を想い、歓喜を求めていたのかもしれません。
なぜ年末なのか
なぜ日本で第九が演奏されるかは、
以下の理由が有力とされています。
1.
第二次世界大戦後の1947年、
日本交響楽団(現・NHK交響楽団)が
12月に3日連続でコンサートを行い、大盛況を収めた。
2.
アマチュアの合唱団も多く設立され、
チケットが売れる、収益が出る興行となった。
3.
戦前に学徒出陣の壮行会で、
戦地に赴く学生のために「歓喜の歌」が演奏されていて、
戦後、生き残って帰国した学生が、亡くなった仲間の追悼に
12月に演奏したことも、定着していった一因のようです。
2024年のコンサート
第九コンサートは全国で開催されますが、主なものを紹介します。
- 読売日本交響楽団(読響)
12月14日(土)14時~ @東京オペラシティコンサートホール
12月15日(日)14時~ @横浜みなとみらいホール
12月17日(火)19時~ @サントリーホール
12月18日(水)19時~ @サントリーホール
12月19日(木)19時~ @フェスティバルホール(大阪)
12月22日(日)14時~ @東京オペラシティコンサートホール
12月24日(火)19時~ @ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:フランチェスコ・アンジェリコ
ソプラノ:中村恵理
メゾ・ソプラノ:清水華澄、
テノール:ダヴィデ・ジュスティ
バス:エギルス・シリンス
オルガン:大木麻里(17・24日)
合唱:新国立劇場合唱団 - NHK交響楽団(N響)
12月18日(水)19時~
12月19日(木)19時~
12月21日(土)14時~
12月22日(日)14時~
@NHKホール
指揮:ファビオ・ルイージ
ソプラノ:ヘンリエッテ・ボンデ・ハンセン
メゾ・ソプラノ:藤村美穂子
テノール:スチュアート・スケルトン
バス・バリトン:トマス・トマソン
合唱:新国立劇場合唱団 - 日本フィルハーモニー交響楽団(日本フィル)
12月22日(日)14時~ @サントリーホール
12月25日(水)19時~ @ミューザ川崎シンフォニーホール
12月26日(木)19時~ @昭和女子大学人見記念講堂
12月27日(金)19時~ @東京オペラシティコンサートホール
12月28日(土)14:30~ @横浜みなとみらいホール
指揮:小林研一郎
オルガン:石丸由佳
ソプラノ:小川栞奈 メゾソプラノ:山下牧子
テノール:錦織健
バリトン:青山貴
合唱:東京音楽大学 - 新日本フィルハーモニー交響楽団(新日本フィル)
12月14日(土)14時~ @サントリーホール
12月15日(日)14時~ @すみだトリフォニーホール
12月19日(木)19時~ @東京オペラシティコンサートホール
12月20日(金)19時~ @横浜みなとみらいホール
12月22日(日)18時~ @東京オペラシティコンサートホール
指揮:佐渡裕
ソプラノ:高野百合絵
メゾ・ソプラノ:谷口睦美、林眞暎
テノール:笛田博昭
バリトン:平野和
合唱:栗友会合唱団 - 東京都交響楽団(都響)
12月24日(火)14時~ @東京文化会館大ホール
12月25日(水)19時~ @東京文化会館大ホール
12月26日(木)19時~ @サントリーホール
指揮:小泉和裕
ソプラノ:迫田美帆
メゾソプラノ:山下裕賀
テノール:工藤和真
バリトン:池内響
合唱:新国立劇場合唱団 - 東京交響楽団(東響)
12月28日(土)18:30~ @サントリーホール
12月29日(日)14:00~ @サントリーホール
指揮:ジョナサン・ノット
ソプラノ:安川みく
メゾソプラノ:杉山由紀
テノール:宮里直樹
バリトン:甲斐栄次郎
合唱:東響コーラス - 東京フィルハーモニー交響楽団(東京フィル)
12月20日(金)19時~ @東京オペラシティコンサートホール
12月21日(土)
12月22日(日)
指揮:ケンショウ・ワタナベ
ソプラノ:吉田珠代
アルト:中島郁子
テノール:清水徹太郎
バリトン:上江隼人
合唱:新国立劇場合唱団 - 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(東京シティフィル)
12月28日(土)15時~ @東京文化会館大ホール
指揮:藤岡幸夫
ソプラノ:森野美咲
メゾソプラノ:林美智子
テノール:村上敏明
バリトン:平野和
合唱:東京シティ・フィル・コーア
関西などその他の地域
- 神戸国際会館創立70周年記念(大阪フィルハーモニー交響楽団)
12月22日(日)16時~ @神戸国際会館こくさいホール - 関西フィルハーモニー管弦楽団「第九」特別演奏会
12月7日(土)14:30~ @ザ・シンフォニーホール - サントリー1万人の第九(兵庫芸術文化センター管弦楽団)
12月1日(日)15時~ @大阪城ホール
コンサートの魅力
第九のコンサートの魅力は、管弦楽と合唱を融合し
人類愛を謳う、壮大なスケールの感動が得られることです。
第4楽章の「歓喜の歌」は第九の象徴であり、
聴衆に希望と喜びをもたらしてきました。
オーケストラと合唱団が一体となって演奏する
迫力と美しさが圧巻です。
参加型の第九
日本ではプロの演奏だけでなく、一般市民が参加する「市民第九」もあります。
多くの地域で市民合唱団が結成され、年末に向けて練習を重ねます。
まとめ
年末、クリスマスを彩る第九のコンサートは、
歴史としては近代からのイベントですが、いまや日本の文化といえます。
師走で忙しい方も多い時期ですが、気になった方は、
ホールで奏でられる年末の風物詩に参加してみてはいかがでしょうか。
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