10月、ようやく本格的に秋らしくなり、
朝晩は冷え込み、草木に冷たい露が降りるころ、
寒露という節気がやってきます。
今年2025年の寒露はいつかや、意味、旬の食べ物や花、
七十二候、風習や行事を紹介します。
2025年の寒露はいつ?

2025年の寒露の日は10月8日(水)9:41です。
二十四節気の17番目です。
期間としての寒露は、10月8日から10月22日までをさします。
寒露の次の二十四節気は「霜降」です。
寒露での太陽の黄経は、195度です。
黄経(こうけい)とは
太陽の通り道(黄道)を360度の平面で見た時の位置、座標です。
二十四節気は、黄経が15度ごとに24等分されています。
寒露の由来・意味

寒露は、中国の古代暦である太陰太陽暦に由来します。
太陰太陽暦は、月の満ち欠けと太陽の動きで季節を区切る暦で、
一年を24等分した二十四節気があります。
寒露という言葉は、
「草木に降りた露が冷気によって凍りそうになるころ」という意味です。
ただ、太陽暦が採用されている現在は
10月、秋の真っ只中で過ごしやすい季節となっています。
寒露の頃に旬の食べ物

寒露の時期に旬を迎える食べ物です。
- 栗
- 柿・干し柿
- 秋さば(鯖)
- ハタハタ(鰰)
- ザクロ(柘榴)
- チンゲン菜(青梗菜)

ハタハタは砂地に住む小さな魚で、塩焼きや煮付けなどで食べられます。

キノコ類もこの時期に多く採れ、しめじや松茸などがあります。
低カロリーな食材で、しいたけは特にたんぱく質が多いといわれます。


寒露の七十二候
寒露の七十二候とは、寒露をさらに細かく分けた季節の区切りです。
寒露は約15日間続きますが、その期間を初候・次候・末候の3つに分けて、
その時期に見られる自然の現象や生き物の動きをあらわす言葉です。
初候・鴻雁来(こうがんきたる)…10/8~10/12

春に北へ帰っていった雁たちが、再び日本にやってくる時期を表しています。
雁は日本で冬を過ごし、暖かい春になるとシベリアの方角へ帰っていきます。
毎年、初めに訪れる雁を「初雁(はつかり)」と呼びます。
雁が渡ってくる頃、吹く風を「雁渡し(かりわたし)」
列をなして飛ぶ様子は「雁行(がんこう)」といわれます。
次候・菊花開(きくのはなひらく)…10/13~10/17

秋に咲く花の代表である「菊の花」が咲き始める時期を表しています。
菊は品種が多彩で、色や形もさまざまです。
菊は日本では古くから親しまれており、菊人形などの文化があります。
この時期の晴天を「菊日和」と言います。
菊には不老長寿の効果があるとされ旧暦9月9日(重陽の節句)には、
菊花をお酒に浮かべた菊酒を飲む風習があります。
菊は皇室の紋章である菊の御紋としても有名です。
末候・蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)…10/18~10/22

戸口で秋の虫(コオロギ)が鳴く時期を表しています。
この虫は夏から冬にかけて見られ、
鈴のような鳴き声のツヅレサセコオロギとされます。
ギーッチョンと機織りのように鳴くキリギリスではないとされますが
どちらも秋の虫の名として使われた言葉で、昔はコオロギをキリギリスといったとされます。

寒露の風習・行事

・柿の葉寿司を食べる風習があります。
今のような冷蔵庫などがなかった時代、貴重な海産物の保存性を高めるために
塩でしめて地域の特産の柿の葉で包んだお寿司です。
葉っぱは食べずにはがします。
柿の葉寿司は奈良県、和歌山県の特産ですが、北陸や山陰などでも作られます。
地域によって形や中の具材が違っています。
奈良のお店は「たなか」「総本家平宗」「ゐざさ」「山の辺」などがあります。
・さば(鯖)
寒露の頃に旬を迎え、脂が乗っておいしいとされ
「秋サバは嫁に食わすな」という言葉もあります。
サバは寄生虫など生食が危険な魚ですが、一部の管理されたブランド鯖ではお刺身があります。
塩焼きや照り焼きなどにされます。
そのほか10月から11月にかけて、七福神のひとつである恵比寿神をまつり、
商売繁盛を願うえびす講が全国の神社などで開催されます。
秋祭り、花火などが行われる地域もあります。
寒露の花

寒露の時期に咲く花は、菊・藤袴(フジバカマ)があります。
菊は秋に咲く花の代表で、多彩な品種があります。
菊は日本では古くから親しまれ、
菊の節句や菊人形などの文化があります。
藤袴は秋の七草の一つで、
藤色の花弁が袴のように見えることから名付けられました。
藤袴は乾燥させると桜餅の葉のような香りがするため、
香料として宮中の女性に愛されました。
ほかに寒露の時期に咲く花は、彼岸花やコスモスなどです。
彼岸花は秋分ごろに田んぼや寺社などに咲く赤い花です。
彼岸花は毒があり、死者の花とも呼ばれます。
コスモスはピンクや白などの色で、秋の風に揺れる美しい花です。

おわりに

寒露は現在では、ようやく秋らしい気候を感じる頃です。
「天高く馬肥ゆる秋」ということわざは、のほほんとした印象がありますが
中国では、騎馬民族が攻めてくるから注意という意味があったようです。
世の中では行楽、食欲の秋・読書の秋・スポーツの秋が本格化します。
食べ物や草花のほか、空の高さを眺めて秋の深まりを楽しみ、
来たる冬を迎える準備にいい季節です。
ただ、近年の残暑の長引きもあり、昼夜の寒暖差が激しくなる時です。
体調には十分注意してお過ごしください。
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