9月8日にやってくる二十四節気のひとつ「白露」について解説します。
白露とは、夜間の気温が下がって
草花や木に朝露が宿り始める時期のことです。
この記事では、白露の意味や由来、七十二候や季語、
旬の食べ物や花などを紹介します。
白露はいつ?
白露(はくろ)の期間は、次の二十四節気・秋分の前日まで
2023年は、9月8日から9月22日までです。
途中には重陽の節句や敬老の日があります。
白露という言葉は、この期間全体を指す場合と、
白露に入る最初の日を指す場合があります。
2023年の場合は、9月8日が白露の日です。
明日8日は、二十四節気の一つ「白露」です。これは、草花に朝露が付き、秋の到来を感じる頃という意味です。今年はかつて無い猛暑だったので、暦の上だけでなく秋を実感したいものです。 pic.twitter.com/paftbuWm3u
— 福島市民家園 (@fukushimashimin) September 7, 2023
白露の意味と由来
白露という言葉は「草の葉に白い露がつき始める」という意味があります。
中国では秋の色は「白」とされており「白露」は秋の始まりを表す言葉でした。
夏の暑さが和らぎ、昼夜の寒暖差が大きくなることで、
朝方に冷え込んだ空気が、草花や木に触れて水滴になります。
その水滴が白く見えることから「白露」と名付けられました。
しかし「白」という単語には冬を連想させるイメージがあります。
なぜ秋の季節に「白」という色が使われるのでしょうか。
中国の自然哲学「陰陽五行説」に由来があります。
陰陽五行説では、春夏秋冬をそれぞれ青・赤・白・黒という色で表します。
秋は金属を象徴する季節であり、金属は白色とされていたため、
白露となったのです。
秋の七草
秋の七草とは、秋に咲く7種類の花のことです。
万葉集に詠まれた山上憶良の歌
「秋の野に咲きたる花を指(および)折りかき数ふれば七種(ななくさ)の花」
に由来しています。
- 萩(ハギ)
紫色やピンク色の小さな花が穂状に咲くマメ科の植物です。 - 尾花(オバナ)
白いしっぽのような花穂をつけるススキの別名です。 - 葛(クズ)
チョウチョのような形の小さな花を円筒状に咲かせるマメ科のつる性植物です。 - 撫子(ナデシコ)
ピンク色の花を咲かせるナデシコ科の植物で、カワラナデシコが代表的です。 - 女郎花(オミナエシ)
黄色い小さな花を多数咲かせるオミナエシ科の植物です。 - 藤袴(フジバカマ)
白い小さな花を房状に咲かせるキク科の植物です。 - 桔梗(キキョウ)
星形で青紫色の花を咲かせるキキョウ科の植物です。
秋の七草は、春の七草と違って食用ではありません。
薬草として、秋の風情や情感を表現する季語などとして使われます。
秋の七草を覚える簡単な方法は「お好きな服は」です。
「オミナエシ・ススキ・キキョウ・ナデシコ・フジバカマ・クズ・ハギ」の頭をとっています。
白露と七十二候
七十二候は、二十四節気をさらに細かく分けたもので、一年を72に分けた季節です。
各節気は約5日間で3つの季節に分けられます。
白露の七十二候は以下になります。
- 草露白(くさのつゆしろし) 9月8日〜9月11日
草花や木に朝露が宿り始めるころです。
雨が降った後などは、植物や蜘蛛の巣などにキラキラと輝く水滴を見られます。 - 鶺鴒鳴(せきれいなく) 9月12日〜9月16日
セキレイという小鳥が鳴くことを表します。
セキレイは夏に繁殖する鳥で、秋になると南へ渡ります。
その前に一生懸命に鳴いて、仲間との連絡を取るということです。 - 玄鳥去(つばめさる) 9月17日〜9月21日
ツバメが南へ渡っていくころです。
ツバメは春先に日本にやってきて夏を過ごし秋になると暖かい地域へ帰ります。
白露の七十二候は、自然の移り変わり、生き物の動きなど
秋の情感が感じられます。
白露の季語としての使い方
白露は俳句の季語として
「初秋」「晩夏」「残暑」「朝涼」「夕暮れ」などと組み合わせて使われます。
白露を用いた句を紹介します。
- 白露や 茨の刺に ひとつづつ(与謝蕪村)
- 白露も こぼさぬ萩の うねりかな(松尾芭蕉)
- 白露や うしろむきなる 月見草(川端茅舍)
白露の時期に見られる自然の風景や植物を詠んでいます。
白露は秋の始まりを感じさせる季語で、秋の情感・哀愁を表現するのに適しています。
白露の頃に旬を迎える食べ物
白露の時期に旬を迎える食べ物は、どんなものがあるのでしょうか。
- 梨
8月〜10月に旬を迎える梨は、白露の時期におすすめのフルーツです。
カロリーが低くて水分が多いため、暑さで疲れた体にも優しいです。
甘みが強い品種として有名な「幸水」以外にも種類があります。
スーパーで見慣れない梨の名前を見かけたら試してみてください。 - アワビ
海水の温度が約20度になる頃に産卵期を迎えるアワビは、7月〜9月が旬です。
栄養をたっぷりと蓄えた産卵期前のアワビは、身がぷりっとしておいしいです。
アワビは漁獲量が少なく、成長するまで4年ほどかかるなどの理由で
高級食材として知られていますが、
旬の時期には比較的安く手に入り、煮物や焼き物、刺身などで楽しめます。 - 秋刀魚(さんま)
9月〜11月に旬を迎える秋刀魚は、白露の時期から食べ始める人も多いです。
秋刀魚は脂が乗っており、DHAやEPAなどの健康に良い成分が豊富です。
塩焼きや煮付け、干物などになります。
和菓子では白露の頃に咲く「菊の練り切り」や、
「栗蒸しようかん」などがあります。
白露の季節に楽しめる花・植物
白露の季節には、美しい花や植物が咲きます。
- 萩
9月〜10月に咲く萩は、秋の七草の一つです。
紫色やピンク色などの小さな花が穂状に咲きます。
萩は日本古来から愛されており、和歌や俳句にもよく詠まれています。
萩は秋風に揺れる姿が涼しげで美しいです。 - ススキ
9月〜10月に咲くススキは、秋の風物詩です。
穂先が白くふわふわした姿が特徴的です。
ススキは日本では古くから重要視されており、十五夜や重陽の節句などで
お供え物として使われています。
おわりに
秋の気配を感じる季節です。
暑さは和らぐものの、台風による気圧や季節の変わり目の気温差など
朝晩の冷え込みに注意が必要です。
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