二十四節気の15番目「白露」について解説します。
今年(2024年)の白露は9月7日(12:11)です。
白露とは、夜間の気温が下がって
草花や木に朝露が宿り始める時期のことです。
この記事では、白露の意味や由来、七十二候や季語、
旬の食べ物や花など、初秋を感じられる風物を紹介します。
白露はいつ?
白露(はくろ)の期間は、次の二十四節気「秋分」の前日までです。
2024年は9月7日~9月21日です。
途中には「重陽の節句」や
「敬老の日(9/16)」「十五夜(中秋の名月)(9/17)」
「彼岸の入り(9/19)」があります。
白露という言葉は、この期間をさす場合と、
最初の日(9/7)のみをさす時があります。
明日8日は、二十四節気の一つ「白露」です。これは、草花に朝露が付き、秋の到来を感じる頃という意味です。今年はかつて無い猛暑だったので、暦の上だけでなく秋を実感したいものです。 pic.twitter.com/paftbuWm3u
— 福島市民家園 (@fukushimashimin) September 7, 2023
白露の意味と由来
白露という言葉は「草の葉に白い露がつき始める」という意味があります。
中国では秋の色は「白」とされており、秋の始まりを表す言葉でした。
今のような医療や技術がなかった昔、この時期の朝露には
神秘的な力があるとされ人々は重宝しました。
夏の暑さが和らぎ、昼夜の寒暖差が大きくなると
朝方に冷え込んだ空気が、草花や木に触れ、水滴になります。
その水滴が白く見え「白露」と名付けられました。
現代では「白」という単語は、冬を思わせます。
なぜ秋の季節に白という色が使われるのでしょうか?
中国の自然哲学「陰陽五行説」に由来があります。
陰陽五行説では、春夏秋冬をそれぞれ「青・赤・白・黒」で表します。
秋の白(白秋)は、澄み切った空気・稲穂が光り輝く情景など
秋のさまざまな風物から、インスピレーションを受けて定まったとされています。
秋の七草
秋の七草とは、秋に咲く7種類の花のことです。
万葉集に詠まれた山上憶良の和歌
「秋の野に咲きたる花を指(および)折りかき数ふれば七種(ななくさ)の花」
に由来しているといわれています。
- 萩(ハギ)
紫色やピンク色の小さな花が穂状に咲くマメ科の植物です。 - 尾花(オバナ)
白いしっぽのような花穂をつけるススキの別名です。 - 葛(クズ)
チョウチョのような形の小さな花を円筒状に咲かせるマメ科のつる性植物です。 - 撫子(ナデシコ)
ピンク色の花を咲かせるナデシコ科の植物で、カワラナデシコが代表的です。 - 女郎花(オミナエシ)
黄色い小さな花を多数咲かせるオミナエシ科の植物です。 - 藤袴(フジバカマ)
白い小さな花を房状に咲かせるキク科の植物です。 - 桔梗(キキョウ)
星形で青紫色の花を咲かせるキキョウ科の植物です。
秋の七草は、春の七草と違って食用ではありません。
薬草や、秋の風情を表現する季語として使われます。
秋の七草を覚える方法は「お好きな服は」で
「オミナエシ・ススキ・キキョウ・ナデシコ・フジバカマ・クズ・ハギ」
の頭をとっています。
白露と七十二候
七十二候は、二十四節気をさらに細かく分けたもので、
一年を72に分けた季節の区切りです。
自然の変化をあらわし約5日間ごと、3つの候があります。
白露の七十二候は以下です。
- 草露白(くさのつゆしろし) 9月7日〜9月10日
草花や木に朝露が宿り始めるころです。
雨が降った後などは、植物や蜘蛛の巣などにキラキラと輝く水滴を見られます。 - 鶺鴒鳴(せきれいなく) 9月11日〜9月15日
セキレイという小鳥が鳴くことを表します。
セキレイは夏に繁殖する鳥で、秋になると南へ渡ります。
その前に一生懸命に鳴いて、仲間との連絡を取るということです。 - 玄鳥去(つばめさる) 9月16日〜9月20日
ツバメが南へ渡っていくころです。
ツバメは春先に日本にやってきて夏を過ごし秋になると暖かい地域へ帰ります。
白露の季語としての使い方
白露は、俳句の季語として使われます。
「初秋」「晩夏」「残暑」「朝涼」「夕暮れ」などを組み合わせます。
白露を用いた句を紹介します。
- 白露や 茨の刺に ひとつづつ(与謝蕪村)
- 白露も こぼさぬ萩の うねりかな(松尾芭蕉)
- 白露や うしろむきなる 月見草(川端茅舍)
白露の時期に見られる、自然の風景や植物を詠んでいます。
白露は秋の始まりを感じさせる季語で、秋の情感・哀愁を表現します。
白露の頃に旬を迎える食べ物
白露の時期に旬を迎える食べ物です。
- 梨(なし)
8月〜10月に旬を迎える梨は、白露の時期におすすめのフルーツです。
カロリーが低く水分が多いため、暑さで疲れた体に優しいです。
甘みが強い品種として有名な「幸水」のほか、多く種類があります。 - アワビ
海水の温度が約20度になる頃、産卵期を迎えるアワビは、7月〜9月が旬です。
栄養を蓄えた産卵期前のアワビは、身がぷりっとしておいしいです。
アワビは漁獲量が少なく、成長するまで4年ほどかかるなどの理由で
高級食材として知られています。
旬の時期には比較的安く、煮物や焼き物、刺身などで楽しめます。 - 秋刀魚(さんま)
9月〜11月に旬を迎える秋刀魚を、白露の時期から食べ始める人も多いです。
秋刀魚は脂が乗っており、DHAやEPAなど健康に良い青魚です。
塩焼きや煮付け、干物などになります。うなぎと並んで
毎年、漁獲量が話題になる人気のお魚ですね。
和菓子では、白露の頃に咲く「菊の練り切り」や、
「栗蒸しようかん」などがあります。
白露の季節に楽しめる花・植物
白露の季節は、美しい花や植物が咲きます。
- 萩
9月〜10月に咲く萩は、秋の七草の一つです。
紫色やピンク色などの小さな花が、穂状に咲きます。
萩は日本古来から愛され、和歌や俳句にもよく詠まれます。
秋風に揺れる姿が涼しげで美しいです。 - ススキ
9月〜10月に咲くススキは、代表的な秋の風物詩です。
穂先が白く、ふわふわした姿が特徴的です。
ススキは日本では古くから重要視され、十五夜・重陽の節句などで
お供え物として使われます。
おわりに
白露の時期は、まだ残暑が厳しいものの、そこはかとなく秋を感じ始める季節です。
暑さは和らいでも、台風による気圧、季節の変わり目の気温差
朝晩の冷え込みに注意が必要です。
秋晴れや秋ナス、中秋の名月で秋の気配を感じられる二十四節気です。
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